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【科学ニュース】自然界の第5の力、あるのかないのか?

カリフォルニア大学(UoC)の物理学者チームは4月25日、昨年ハンガリーのチームが行った研究は自然界の5番目の力の存在を明らかにした可能性があるとする論文を、arXiv(アーカイブ)プレプリント・サイトにアップロードした。この論文は当然のごとく物理学界に議論を呼び、複数のグループがハンガリー科学アカデミー原子力研究所チームによる実験の再現を目指している。

自然界には、4種類の力(基本相互作用)が存在することになっている。天体間の質量によって生じる「重力」、原子間における「電磁力」、ベータ崩壊を引き起こす「弱い力」、原子核の核子同士を結合している「強い力」(核力)の4つで、これらの力を媒介(伝達)するものがゲージ粒子と呼ばれ、重力についてはグラビトン(重力子)、電磁力はフォトン(光子)、弱い力はウィークボソン(弱中間子)、強い力についてはグルーオン(膠着子)と名付けられている。

ハンガリー・チームの研究は、欧州合同原子核研究機構(CERN)大型ハドロン衝突型加速器(LHC)のアトラス実験に参加しているアッティラ・クラスナホルカイ(Attila Krasznahorkay)氏が主導し、ダークフォトンが存在する可能性を探る試みだった。ダークフォトンとは、ダークマター(暗黒物質)に作用するゲージ粒子を表し、通常物質におけるフォトンに相当する。

研究チームは、ベリリウム8核を作っているリチウム7のサンプルを標的に陽子を衝突させたところ、崩壊に際して電子と陽電子のペアが放出された。放出ペアを観察していると、一貫して逓減するのではなく、小規模な上昇が1回あり、質量約17 MeVの未知の粒子が生成されたと考えられた。チームは昨年5月にこの結果をarXivサイトにアップし、その論文は後日Physical Review Letters誌に掲載されたが、今年4月にカリフォルニア大学チームが論文を発表するまでほとんど注目されなかった。UoCチームの論文は、ハンガリー・チームが発見した新しい粒子はダークフォトンではなく、原子核の数倍ほどの距離でのみ作用する極短距離間の力を媒介するゲージ粒子であり、現代物理学の基礎をなす4種類の力ではないもう1つの力として、「プロトフォビックXボソン(protophobic X boson)」とも呼ぶべきものであると指摘した。

UoCチームが公開した論文は、興奮とともに疑念も広く巻き起こした。これまでにも自然界の5番目の力の可能性に関する報告はいくつかあったが、結果が確認されたものはひとつもなかったためだ。しかしそれでも、ハンガリー・チームの実験の追試計画を複数グループが表明したことは十分に興味をかきたてる。なかでも、加速器研究で著名な米ジェファーソン研究所のダークライト実験は多くの注目を集める(同研究所のあるチームはダークフォトンの探求も行っている)。ガスを標的に電子を衝突させて質量10~100 MeVの範囲でなにが生じるかを探ろうとしているが、現在は特に17 MeV近辺に集中しているという。これらの実験で何が見つかるか、あるいは見つからないかで、いまは曖昧な5番目の力が存在するかどうかが、おそらく1年ほどの間にはっきりするだろう。

【情報ソース】

arXiv.com - Evidence for a Protophobic Fifth Force from 8Be Nuclear Transitions (UoC論文)
http://arxiv.org/abs/1604.07411

arXiv.com - Observation of Anomalous Internal Pair Creation in 8Be: A Possible Signature of a Light, Neutral Boson (ハンガリー・チーム論文)
https://arxiv.org/abs/1504.01527

Nature - Has a Hungarian physics lab found a fifth force of nature?
http://www.nature.com/news/has-a-hungarian-physics-lab-found-a-fifth-force-of-nature-1.19957

Phys.org - Possible case for fifth force of nature
http://phys.org/news/2016-05-case-nature.html

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