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【科学ニュース】ジャンクDNAの重要な役割、ゲノムの一体性を保持

米ミシガン大学生命科学研究所の山下幸子(Yukiko Yamashita)教授率いる研究チームは、eLife誌に発表した新しい研究で、ジャンクDNAとも呼ばれるサテライトDNAが、細胞核の中で染色体の正しい結合を保持するという生命維持に不可欠な役割を担っていることを示した。またこの機能は、多くの生物種に共通と思われるという。

サテライトDNAとは、非常に単純な遺伝子コードの配列が何度も反復して存在する部位(反復配列)のこと。

サテライトDNAは、ゲノム上で相当な部分を占めているが、特定のタンパク質を作成する命令は持っていない。また、反復して存在することから、ゲノムの安定性を損ない、損傷や疾病を引き起こしやすくするものと考えられている。

研究者はかなり最近まで、これは有意な目的を持たない「ジャンクDNA」あるいは「利己的遺伝子」であると考えてきた。

「これが単なるゲノムのジャンク(がらくた)とは考えていなかった。もしこれが実際に必要でないのなら、またこれを保持していることが有利に働かないのなら、おそらく進化の過程で排除されていただろう。しかし、そういうことは起こらなかった」と山下氏は述べる。

山下氏の研究チームは、セントロメア(染色体の長腕と短腕が交差する部位)周辺のサテライトDNAが使えなくなったらどうなるかを調べようと考えた。

このサテライトDNAは長い反復配列となっているので、単純に変異させたり、ゲノムからサテライトDNAをそっくり切り取ったりはできない。チームは、サテライトDNAに結合するタンパク質として知られるD1を使って、この問題にアプローチした。

研究チームは、モデル生物として広く使用されるミバエの一種、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の細胞からD1を取り除いた。

すると、すぐに生殖細胞(最終的に精子または卵子に成長する)が死んでいくことがわかった。

さらに分析すると、死んでいく細胞は小さな蕾のような微小な核を、ゲノムの断片を含む核の外で形成しつつあったことがわかった。核の中にゲノム全体が収まっていないと、その細胞は生き残れなかったわけだ。

「D1タンパク質は、サテライトDNAに結合して全染色体を核の中に引き留める。D1タンパク質がサテライトDNAを掴んでいられないと、細胞は完全な核を形成する能力を失い、最終的に死に至る」と研究チームは述べる。

「このタンパク質には結合部位が複数あるので、複数の染色体に結合して一体にまとめることができ、個々の染色体が核から出て行かないようにできる」と山下氏は付け加える。

研究チームは、マウスの細胞でも同様な実験を行い、同じ結果を得た。通常はマウスのサテライトDNAに結合するタンパク質を取り除くと、細胞はやはり微小な核を形成し、やがて死に至った。

ミバエの細胞とマウスの細胞で同様な結果が得られたことで、サテライトDNAが細胞の生存に不可欠であり、それはモデル生物に限らず、ヒトも含めて核内にDNAを埋め込んでいる生物種に共通するものであると研究チームは考えている。

【情報ソース】

eLife - A conserved function for pericentromeric satellite DNA
https://elifesciences.org/articles/34122
doi: 10.7554/eLife.34122

University of Michigan - Scientists discover a role for 'junk' DNA
http://www.ns.umich.edu/new/multimedia/videos/25564-scientists-discover-a-role-for-junk-dna

Sci-News - ‘Junk’ DNA Plays Crucial Role in Holding Genome Together: Study
http://www.sci-news.com/biology/junk-dna-role-holding-genome-together-05904.html

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