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【科学ニュース】原子から電子放出の時間、10京分の2秒と計測

ハイゼンベルクの不確定性原理によれば、どの時点においても電子の位置と速度の両方を同時に知ることは不可能である。しかしスウェーデンの物理学者チームは、波長が異なる2つの短い光パルスの重ね合わせ(干渉)を利用して、それが可能であることを示した。

ルンド大学の博士課程大学院生であるマークス・イシンガー(Marcus Isinger)氏らは、希ガス(第18族元素)のネオンの原子から電子の放出にかかる時間を測定した。

その結果は、20アト秒だった。アト秒=10-18秒=10億分の1ナノ秒=100京分の1秒。

「光が原子に当たると、その光のエネルギーを電子が吸収する。その直後に、電子は原子との結合から解放される」とイシンガー氏は話す。

「この現象(光電効果)は光イオン化(光電離)と呼ばれ、アルベルト・アインシュタインが初めて理論的に説明した最も基本的な物理プロセスの1つであり、この研究により1921年にノーベル物理学賞が授与された」。

光イオン化は光と物質の相互作用であり、この相互作用は地球上の生命と光合成の基盤となり、物理学者が原子を研究することを可能にしている。

「原子や分子が化学変化するとき、電子は重労働を担う存在だ」とイシンガー氏は説明する。

「電子は再編成と移動によって分子間の新たな結合を作り出し、あるいは結合を解除する。このようなプロセスをリアルタイムで追跡するのは、科学の世界で聖杯を追い求めるようなもの。今回、(聖杯に)一歩近づいた」。

ネオンは電子10個の比較的単純な原子だが、この実験には、アト秒単位の極めて厳格な時間管理と、千分の1アトジュール程度しか速度の差がない電子を見分ける測定が要求された。

今回の測定結果により、数年来の理論研究が実証され、“アト物理学”の対象をより複雑な分子への広げられることが示された。

「化学反応において分子が電子をどのように交換するのかを観察できれば、多くの基礎的な生物学・化学プロセスについて全く新しいタイプの研究への道が拓かれる」とイシンガー氏は話している。

この研究結果は、Science誌に11月2日付で発表された。

【情報ソース】

Science - Photoionization in the time and frequency domain
http://science.sciencemag.org/content/early/2017/11/01/science.aao7043
DOI: 10.1126/science.aao7043

Lund University - The unbelievable speed of electron emission from an atom
http://www.lunduniversity.lu.se/article/the-unbelievable-speed-of-electron-emission-from-an-atom

Sci-News - Innovative Interferometric Method Reveals Time of Electron Photoemission from Atom
http://www.sci-news.com/physics/electron-photoemission-05432.html

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