科学検定

お知らせ

【科学ニュース】動物は合理的に考えるのか?

これまでの研究で、動物は特定の出来事を記憶し、道具を使用し、問題を解決できることが示されている。しかし正確に言うと、動物が合理的な意思決定を行っているのか、あるいは思考に依らない単なる反射によって環境に反応しているのか、科学的な論争の問題が残されている。

米ヒューストン大学の哲学助教であるキャメロン・バックナー(Cameron Buckner)氏は、Philosophy and Phenomenological Research誌に発表した記事で、広範囲の動物種が意思決定を行うとき、すなわち、行動を起こす前にそのゴールとそこに達するための方法を意識的に検討するときに、いわゆる実行制御(executive control)を見せることについて議論している。

バックナー氏は、ある種の洗練されたメタ認知(思考について考えること)に言語が必要であることを認めている。しかし、公開されている過去の研究を再検討した結果、ゾウやチンパンジー、ワタリガラス、ライオンなど、多様な動物が論理的な価値判断に基づく合理的な意思決定を行っているとの結論に達した。

「これらの(過去の論文から得られた)データは、一部の動物はゴールに向けて評価すべき選択肢の適合性について主体的な見解を持つだけでなく、異なる選択肢からの選択に際して示されるその見解の信頼性について主体的な内部シグナルも有している」とバックナー氏は記す。

これは、人間が人間であることの意味を考えてきたように、古代の哲学者の時代から議論されてきた問題である。バックナー氏は、これに答える方法のひとつは、人間を他の動物と区別するものが何なのかを正確に決定することだと言う。

言語はやはり差別化要因のひとつであり、1970~80年代に動物に人間の言語を教える重要な試み(例:チンパンジーに手話を教える)によって、動物は単純な概念を表現することはできるが、複雑な思考や言語の構造を把握することはできないことがわかったと、バックナー氏は述べる。

古代の哲学者は証拠を事例に頼っていたが、現代の科学者は洗練された制御実験を実施している。バックナー氏はウィーン大学の認知生物学者らとともに昨年、他者の考えを抽象的に考える人間の能力について、少なくともその一部をワタリガラスが共有しており、他者に対する認知に基づいて自身の行動を適応させることを示した研究結果を発表した。

バックナー氏は自身の最新の論文で、この考えを支持する例をいくつか挙げている。

◎ ケニア、アンボセリ国立公園の母権制のゾウは、人間の侵入者の脅威レベルを民族、性別、および年齢の区別によって決定することができ、マサイ族の成人男性は食物獲得の競合あるいは人間への攻撃に対する報復のためにゾウを殺す場合があるが、一方でカンバ族の男性および両部族の女性と子どもは脅威とならないことを理解している。

◎ アフリカのライオンは一般に、キリンがライオンの頭蓋骨を砕くほどの蹴りを見舞えることから、獲物と見なしていない。しかしアフリカ南部、セルース猟獣保護区のライオンは、キリンが砂の川床で立ち往生したり転倒することもあることを知り、適切な獲物となることを学習したと報告されている。

バックナー氏のゴールは、こうした経験的な研究を集めて、「動物は明確な形で真に合理的であると言える十分な証拠を蓄積することだ」と話している。

【情報ソース】

Philosophy and Phenomenological Research - Rational Inference: The Lowest Bounds
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/phpr.12455/abstract
DOI: 10.1111/phpr.12455

University of Houston - Do Animals Think Rationally?
http://www.uh.edu/news-events/stories/2017/november/11012017Buckner-Animal-Cognition.php

facebooktwitter広告2