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【科学ニュース】初期農業による海洋汚染は4000年前から!?

人間は、少なくとも4000年前から環境を汚染し続けてきた。南シナ海の堆積物を分析した科学者がそう述べている。ただし、同意しない研究者もいる。

約4000年前、いくつかの初期文明が危機に瀕していた。地球は全体的に寒冷化していたが、それはメソポタミアでアッカド帝国の崩壊に関係し、南アジアではインダス文明の終末期にあたり、現在の中国東部では良渚文化が衰退していった。

寒冷化は中国南岸の海南島でも見られたと、中国石油大学の徐方建(Xu Fangjian)氏、青島海洋地質研究所の胡邦琦(Hu Bangqi)氏らの研究チームは述べる。この寒冷化は、南シナ海の重金属汚染を悪化させたという。

徐氏らは海南の南西海底2カ所の堆積物を調べ、数種類の金属について濃度上昇要因を算出した。1以下の値は濃度の上昇がないことを示し、1から3までは“わずかな上昇”を意味する。

◆漁業から農業へ

カドミウムと鉛の上昇要因は、4000年より前には1前後だったが、以降は1.5程度に上昇していた。言い換えると、海南では4000年前頃に人間の活動によって南シナ海の重金属汚染が、わずかではあるが検出可能なレベルで進行したことになる。

研究チームによると、この変化は当時の地球の寒冷化と関係があり、海南は気温が低下し乾燥化していたという。モンスーンの活動レベルの低下で沿岸域の湧出が減少し、海の生産力が低下したため、海南の住人は漁業よりも農業に生産の重心を移すようになった。

農地から海への流出物には、金属器の使用のせいで土壌に蓄積した重金属も含まれていた。

中国雲南省に発しベトナムのトンキン湾に注ぐ紅河からの流出物に由来する、南シナ海堆積物の2015年の調査に、フランス国立海洋研究所のサミュエル・トーカンヌ(Samuel Toucanne)氏が加わっていた。その調査では、人間が関与した鉛、銅、およびヒ素による汚染が始まったのは1800年前からであることが示された。

◆疑問は残る

トーカンヌ氏は、4000年前からの汚染レベルの上昇は、はっきりしたものではなく段階的だったと述べる。「しかし(今回の)研究チームは、この明確な年代を使って、地球の気候と人間の活動の関係を議論している」。4000年前の寒冷化と海南沿岸の汚染レベル上昇との間に直接的な関係があるかどうかは疑問だという。

英ダーラム大学のジェームズ・イネス(James Innes)氏は、気候変動によって海南の一部で降水量が増加した証拠(2014年の研究)もあると述べる。「つまり、この時期の海南で乾燥化が進んだというのは確実とは言えない」。

それでもイネス氏は、新しい研究で示されたシナリオには納得できるところもあるという。「沖合の生産力の低下が、海南島での農業生産の増加につながった可能性はある」。

ルイジアナ州立大学のピーター・クリフト(Peter Clift)氏はこれに賛成しない。ほかにも、大陸での金属器使用による南シナ海の汚染が始まったのは約2000年前だったという証拠(2010年の研究)があるという。「小さな海南島で4000年前に(大陸より)開発が進んでいたとは考えにくい」。

しかし、重大な汚染の先例はかなり昔からある。2013年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)のフランシスコ・ヒメネス・エスペホ(Francisco Jiménez-Espejo)氏は、約4000年前のイベリア半島で鉛の汚染を発見した。同氏はそれ以降も、ネアンデルタール人のような古代人類が引き起こした局所的な重金属汚染を発見している。「ただし、その(汚染の)量は小さなもので、人間(の健康)に有害あるいは危険と考えられるレベルではない」。

【情報ソース】

The Holocene - Prehistoric heavy metal pollution on the continental shelf off Hainan Island, South China Sea: From natural to anthropogenic impacts around 4.0 kyr BP
http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0959683617729445
DOI: 10.1177/0959683617729445

New Scientist - Early farmers may have polluted the sea 4000 years ago
https://www.newscientist.com/article/2149450-early-farmers-may-have-polluted-the-sea-4000-years-ago/

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