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【科学ニュース】海水面の低下で火山活動が活発になる

過去80万年の間、南極の気温と大気中の二酸化炭素濃度は同じような進化を示していた。しかし、最後の氷河期に移行した約8万年前ごろ、気温は下がってゆく一方で、二酸化炭素濃度は比較的安定していた。

ドイツのGEOMARヘルムホルツ海洋研究センターとアルフレッドウェゲナー極地海洋研究所は新しい研究で、海水面の低下が海洋の火山活動レベルを高めていた可能性があり、それによって気温とCO2濃度の不均衡を説明できることを明らかにした。この研究は、Nature Communications誌に7月6日付で発表された。

気候の進化には規則性があり、それは地球の長い歴史に沿って跡づけることができる。地球全体の平均気温と大気中のCO2濃度の関係もそのひとつで、通常は同じように変化する。気温が下がればCO2の値は低下し、気温が上がればCO2の値も上昇する。

しかし、例外がある。GEOMARヘルムホルツ海洋研究センターとアルフレッドウェゲナー極地海洋研究所を中心とする国際研究チームは、そうした例外(不規則性)の原因と見られる現象を発見した。その実例が、最終氷期への移行期にあった。約8万年前、気温は低下を続けていたが、大気中のCO2濃度は数千年にわたって比較的安定していた。その理由は、海水面の低下により、海洋の火山の活動が活発化したためであった可能性が高い。

氷河期の状況が進行する間、気温が低下して氷床が形成され、その結果として海から陸への水の再配置が進む。そのため海水面が低下し、海底地殻への圧力が下がるため、マグマの生産は活発化する。

「これらのプロセスを理解し定量化するために、地球力学データと統合した総括的なコンピューターモデルを開発した。また、古気候データを分析して、地球の炭素循環モデルと合わせてシミュレーションを行った」と、研究の筆頭著者であるヨルグ・ハセンクレバー(Jörg Hasenclever)氏は話す。研究では、中央海嶺と43の島嶼火山について、氷河期の海水面変化への反応を調べた。

「われわれのアプローチで、海底への圧力の下がると、溶岩とCO2の排出増加を誘導することが示された。最終氷期の入口で気候システムの活性が下がっている時期に、活発化した火山からのCO2流出が大気中のCO2濃度を安定させたと考えられる」と、GEOMARのラース・リュプケ(Lars Rüpke)教授は述べる。

今回の研究結果は、地球と気候システムの間に、5000年から1万5000年という地質学的には比較的短い時間スケールで、密接な相互作用が存在することを示している。論文共著者でアルフレッドウェゲナー研究所のグレゴー・クノール(Gregor Knorr)博士は、「このような相互作用は、地球システム研究の新しい要素として、氷河による海水面変化に伴う気候の進化についての理解を深めることに繫がるだろう」と話している。

【情報ソース】

Nature Communications - Sea level fall during glaciation stabilized atmospheric CO2 by enhanced volcanic degassing
https://www.nature.com/articles/ncomms15867
doi:10.1038/ncomms15867

GEOMAR - Falling Sea Level caused Volcanos to Overflow
http://www.geomar.de/en/news/article/sinkender-meeresspiegel-brachte-vulkane-zum-ueberlaufen/

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