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【科学ニュース】メスのトンボ、死んだふりでオスのアタックを回避

あるトンボのメスは、無用なオスの追跡から逃れるために、墜落を装って急降下し、死んだふりをするという突飛な戦術を用いる。

スイス、チューリッヒ大学のラシム・ケリファ(Rassim Khelifa)氏は、ルリボシヤンマ(Aeshna juncea)のこの変わった行動を初めて観察した。スイス・アルプスでこのトンボの幼虫を集めているとき、1匹のメスに追いかけられていたメスが急降下して地面に身を投げ出すのを目撃した。

そのメスは地上で仰向けになり、動かなくなった。間もなく追いかけていたオスが飛び去って邪魔者がいなくなると、メスは再び飛び上がった。

「びっくりしたよ」と、トンボを10年研究していて初めてこんなシーンを見たというケリファ氏は話す。

メスのルリボシヤンマは産卵時に、他のトンボと違ってつがいのオスに守ってもらうことがないため、こうしたハラスメントの被害を受けやすいという。オスとの1回の性的接触だけで卵の受精には十分であり、それ以上の交接は生殖器官の損傷に至りやすい。

ケリファ氏は、メスがしばしば池に近い植物が生い茂った場所に、おそらくは隠れるために避難にやってくることに気づいた。そして、やってくるときには、しばしば劇的な行動を見せる。

ケリファ氏が同時期に観察した31匹のメスのうち、27匹がオスから逃れようと落下して死んだふりをし、21匹が逃げおおせたという。高速での落下には危険も伴うが、ビーゴ大学(スペイン)のアドルフォ・コルデロ・リベラ(Adolfo Cordero-Rivera)氏は、これはトンボが多い地域でのみ用いられる戦略だろうと話す。「メスがこの方法をとるのは、おそらくオスのハラスメントが強い場合だけだと思う」。

相手をだますために死を装う動物はわずかしかいない。そうした行動はこれまで、クモ1種(オスが繁殖の機会を増やすために行う)、ムシヒキアブ2種、および一部のカマキリで確認されている。

しかし、捕食者から逃れるために死んだふりをする動物はもっと多く、他のトンボでも見られる。「(ルリボシヤンマの)メスは、その行動の適用範囲をオスのアタックをかわすことに拡大したようだ」とケリファ氏は述べる。

ケリファ氏はこの行動が、オスの助けなしにメスが単独で産卵する種に特有のものなのか、あるいはそうでない種にも広がっているのかを確かめたいという。繁殖時の衝突を解決するために突飛な戦術をとるのはルリボシヤンマに固有の行動ではなく、例えば一部のイトトンボは、メスがオスを食べてしまうことがある。

【情報ソース】

Ecology - Faking death to avoid male coercion: extreme sexual conflict resolution in a dragonfly
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ecy.1781/abstract
DOI: 10.1002/ecy.1781

New Scientist - Female dragonflies fake sudden death to avoid male advances
https://www.newscientist.com/article/2129185-female-dragonflies-fake-sudden-death-to-avoid-male-advances/

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