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【科学ニュース】矮小銀河の中心にも超大質量ブラックホールが…

小さな銀河でも、強力なパンチを持つことができるようだ。きわめて小さな2つの銀河それぞれの中心にブラックホールが検出され、その質量を慎重に算出したところ、ホスト銀河自体の質量のかなりの部分をブラックホールが占めていることがわかった。

2つの「超小型矮小銀河」(ultra-compact dwarf galaxy)は、こうした巨大ブラックホールを持つ矮小銀河の2番目および3番目の例となり、同じグループが3年前に発見した最初の例とあわせ、これらが例外的存在ではないことが明らかになった。

「ここまで、3問中3問正解だ」と、ユタ大学の物理天文学部助教アニル・チャンドラ・セト(Anil Chandra Seth)氏は話す。セト氏の研究チームは、これらの特に密度の高い銀河は、かつてはもっと大きな銀河だったが、密集状態だった近隣銀河の潮汐力によって引っ張られて分裂したと考えている。

「銀河がどのように形成され、時の経過とともにどのように進化するのか、まだ完全にはわかっていない。(今回見つかった)これらの天体は、銀河がどのように合体するのか、どのように衝突するのかを知る手掛かりになる」と、同学部のポスドク研究員クリス・アン(Chris Ahn)氏は話す。「巨大銀河の中心部分はおそらく、その周囲を剥ぎとればこうした小型銀河のようなものだろう」。

◆銀河の計測

おとめ座銀河団の中で巨大銀河の外側を周回する2つの超小型矮小銀河は、VUCD3およびM59cOと名づけられている。各銀河とブラックホールの質量を測ったところ、VUCD3のブラックホールは太陽質量の440万倍でホスト銀河の約13%を占め、M59cOのブラックホールは太陽質量の580万倍で銀河全体の約18%を占めることがわかった。

比較のために天の川銀河について言うと、中心にあるブラックホールは太陽質量の400万倍だが、銀河全体の質量に占める割合いは0.01%にも満たない。

「これらの超小型矮小銀河は、サイズ(質量)は天の川銀河の0.1%ほどしかないのに、天の川銀河より大きな超大質量ブラックホールを持っている」とアン氏は述べる。

研究チームは超小型矮小銀河の質量を計算するために、ハワイのマウナケア山にあるジェミニ北望遠鏡を使って恒星の動きを計測した。また、ハッブル宇宙望遠鏡の画像を解析して各銀河の恒星の分布を調べ、今回の観測状況に最も合致するコンピューター・シミュレーション・モデルを作成した。

このシミュレーションから、銀河中心部の恒星の動きは外側に比べて大幅に速いことがわかった。これは、ブラックホールの存在を示す古典的なサインである。超大質量ブラックホールを持つ超小型矮小銀河の2番目・3番目の例としてVUCD3とM59cOが見つかったことは、こうした矮小銀河はすべて同様な巨大ブラックホールを持っていることを想像させる。

◆未知の超小型矮小銀河

超小型矮小銀河が初めて見つかったのは1990年代後半で、数億個の星が平均100光年の範囲内に密集していた。銀河の内部で何が起きているのかはよくわからなかったが、銀河全体の質量は、恒星をすべて加算した値よりも大きいことがわかった。そして、ユタ大学のセト氏のチームが2014年に、超小型矮小銀河の中心に超大質量ブラックホールがあることを初めて発見した。今回の2つの例は、銀河の中心にある超大質量ブラックホールが、“余分”な質量をもたらしている張本人であることを強く示している。

矮小銀河は、実際には巨大な星団(数十万の星の集まり)にすぎないという見方もある。例えば天の川銀河の中にある最大の星団は300万個の星からなるが、超小型矮小銀河のサイズはその10倍から100倍程度だ。「問題は、“同じプロセスでより大きな星団が形成されるのか、それとも何か異なるプロセスがあるのか”ということだが、今回の結果は両者が異なることを示している」とセト氏は述べる。

「通常の銀河の中心はほとんど正確にこうした天体のように見えるが、ほとんどの人が考えていたものではなかったことは明らかだ。観測を行ったときに、私はブラックホールが見つかるとは思っていなかった。これは、科学的発見のクールな例であり、宇宙についての理解が瞬時に書き換わる例でもある」。

◆ブラックホールと銀河の形成

ブラックホールは、光さえ抜け出せない強い重力を持つ領域である。恒星が崩壊したときに、周囲の物体に重力を及ぼす高密度の塊りとして形成される。超大質量ブラックホールは、太陽100万個分を上回る質量を持ち、すべての大規模銀河の中心にあると考えられている。

超大質量ブラックホールが超小型矮小銀河に存在することの説明として、その銀河がかつては数十億の星からなる大型の銀河だったと見ることができる。研究チームは、はるかに大きな銀河の重力によって“飲み込まれ”、“引き裂かれ”た結果だと考えている。超小型矮小銀河のブラックホールは、かつては巨大サイズの銀河だった名残りなのだ。今回の研究結果は、銀河の形成と進化の全貌を知る上で1つの手掛りとなる。

「銀河が常に融合や結合して進化していくことはわかっている。われわれの天の川銀河は、こうして話している間に他の銀河を飲み込もうとしている。銀河形成の構図の1つは、小さな銀河が融合して大きな銀河ができるというものだが、その構図はまだ不完全だ。超小型矮小銀河は、過去に何が起きたのかが見てとれる、より長い時間軸を提示してくれる」。

【情報ソース】

Astrophysical Journal - Detection of Supermassive Black Holes in Two Virgo Ultracompact Dwarf Galaxies (DOI: 10.3847/1538-4357/aa6972)
http://dx.doi.org/10.3847/1538-4357/aa6972

University of Utah - Supermassive black holes found in two tiny galaxies
https://unews.utah.edu/supermassive-black-holes-found-in-two-tiny-galaxies/

New Scientist - Many tiny galaxies could host mammoth black holes
https://www.newscientist.com/article/2128000-many-tiny-galaxies-could-host-mammoth-black-holes/

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