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【科学ニュース】世界中のクモは全人類より肉をたくさん食べている?

世界中のクモが1年間で食べるエサの量を推計した新しい研究によると、昆虫やトビムシなどの無脊椎動物を合わせて4億~8億トン食べていることがわかった。

肉食動物であるクモは、特に森林や草原地帯で無数の害虫を捕食し、その蔓延を抑制するという、人間にとっても重要な役割を演じている。今回の研究はバーゼル大学(スイス)のマーティン・ニーフェラー(Martin Nyffeler)氏と、ルンド大学(スウェーデン)およびブランデンブルク工科大学(ドイツ)のクラウス・ビルクホファー(Klaus Birkhofer)氏によって行われ、Science of Nature誌に発表された。

ニーフェラー氏とビルクホファー氏は過去の65件の研究データを使用して、地球上の7つの生物群系(バイオーム)に現在どれだけのクモがいるのかを初めて推計したところ、生物量(バイオマス)として合計で約2500万トンに達することがわかった。これらのクモのほとんどは、森林、灌木地、草原のほか、農地、砂漠、市街地、およびツンドラ(寒地荒原)に暮らしている。

ついで研究チームは、2つの単純なモデルを使って、世界中のクモが1年でどれだけの獲物を捕食するかを割り出した。まず、一般的なクモの生存に必要な食物の量と、各種の生物群系で1平方メートルあたりのクモの平均生物量をモデルに組み込んだ。次に、クモの捕食活動の現地観察に基づいて、1平方メートルあたりのクモの個体数をモデルに組み入れた。そして得られた推計値では、クモが1年間に食べる獲物の総量は4億~8億トンとなった。

この数値がどのようなものかと言うと、例えば人間が1年間に消費する肉と魚の総量は約4億トンと見積もられている。また、クジラは毎年5億トンの海産物を食べ、海鳥は年間7000万トンの海産物を食べると推定されている。

さらに詳しく見ると、森林と草原に住むクモの捕食量は地球全体のクモの95パーセント以上を占めていることがわかった。これは、森林や草原では農地や市街地より人間およびその活動による障害が少ないため、クモの生物量自体がはるかに大きいためと考えられる。

「これらの研究結果は、クモの捕食活動が半自然および自然環境で果たしている役割の重要性を示しており、それだけの経済的に重要な意味を持つ害虫や病原媒介者がそうした森林や草原の生物群系で繁殖していることもわかる」とニーフェラー氏は述べる。

研究チームによれば、クモは重要な捕食者であるだけではなく、貴重な食物源でもあるという。クモだけを対象とする8000~1万種の捕食者、捕食寄生者、寄生者が存在し、同時にクモは3000~5000種の鳥類の食物の重要な一部をなしている。

「今回の研究により、クモの存在の重要度が一般にも理解され、地球上の食物網におけるクモの地球的な役割の認識レベルが高まることを期待したい」とニーフェラー氏は付け加えた。

【情報ソース】

Science of Nature - An estimated 400-800 million tons of prey are annually killed by the global spider community
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00114-017-1440-1

EurekAlert - Spiders eat astronomical numbers of insects
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/s-sea031417.php

Science Alert - Spiders Eat More Each Year Than All Humans Put Together
https://www.sciencealert.com/spiders-eat-more-each-year-than-all-humans-put-together

New Scientist - Spiders eat twice as much animal prey as humans do in a year
https://www.newscientist.com/article/2124693-spiders-eat-twice-as-much-animal-prey-as-humans-do-in-a-year/

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